技術や経験が違うと報酬は変わるべきか

研修会に行った時に指導していた療法士がこんな事を言っていたのを覚えている。

 

「私のような技術高いリハを行っても、周りの平凡な療法士たちと診療報酬的には変わらない。これはおかしいよ」

 

その時はなる程その通りだと感じ、自分も技術を上げてそう言える療法士になりたいと思ったものだ。しかし今はそう思わない。まずリハビリテーションを行って手にできる診療報酬は国が決め上限もある。そういう制度のもとで成り立っているという大前提がある。だからとリハビリテーションを行えばその時間と疾患によって一律に、その質に関係なく報酬が支払われる。一方で病院といえ療法士も年功序列の中で働くサラリーマンだ。つまり研修の指導者になるような人間になるとたいていは自分で稼いだ以上の給与を手にしている(リハビリテーション室の家賃、医療事務関係、労務関係、病院の広報、その他雑費等実際の給与の数倍は稼ぐ必要がある)。そしてそれは自分よりも若い療法士たちがリハビリテーションを行って稼いだものから支払われているのだ。

 

また何より多くの患者さんを全てひとりの療法士が担当できる訳もなく、抜きん出た技術も重要だが最低限のレベルを常に誰もが提供できることの方がメリットは大きい。それを指導やアドバイスという形で後輩たちにできるからこそベテラン療法士には価値があるのだ。だから技術の有無で報酬は変わるべきではないし、自分の技術どんなに高いかを誇示している場合ではない。もしそれを実現したいのなら、国の保険制度の範囲外で勝負すべきだ。

 

まあこのように書いてはきたが、おそらく先に挙げた療法士は研修に来ている若手の療法士を良い意味で煽っただけだろう。きっとそのはずだ。