訪問リハビリテーションで働くまで(2)

正直にいうと、もう療法士として働くことを止めようと思った。その時は限界だった。身内のことやらでいろいろあったことも大きく精神的には影響していた。

 

塾の教師や、介護施設の事務などにも見学に行ったり、選考書類を送ったりもした。

しかし、収入とこれまでの経歴を考えた場合、このまま療法士として働く方が良いのは考えるまでもなかった。

 

そして最後の行き場として、これまで経験したことのない場所での仕事を選ぶことにした。それが訪問リハビリテーションだった。訪問では多くても1日6〜7人程の担当である。それならなんとか働き続けることができると思ったのだ。

 

実際に働き始めると、病院ではなく患者さんが住む自宅でのリハビリテーションという環境の違いだけで、行うこととしてはそう大きくは変わりなかった。しかしその環境の違いはまた違った独特の緊張感を覚えた。

 

また患者さんは待っていてもやって来ず、ケアマネージャーからの依頼があってようやく訪問リハができるという違いは大きかった。そのため、最初のうちは自己紹介などを兼ねて、各事業所への営業を兼ねた挨拶周りを延々と行った。飛び込み営業などこれまでやったことがあるわけがなく、精神的にはかなり疲労した。

 

ただ、病院でのリハを終えて後もまだリハを継続したいという気持ちを持った人が多いということは、病院とは違ったやりがいがあった。

もう回復は大きくは望めないだろうが、それでも少しずつ回復していく患者さんがいる。現状をどこまで維持できるかが重要な患者さんもいる。高齢者ばかりと思っていたが、中学生やそれまでバリバリ働いていた50代の患者さんもいる。

 

これから訪問看護ステーションに所属する療法士が訪問リハをどれくらいできるのか未知数な部分がある。それでも訪問リハという場がある限り、私には一番あっている場なので、働き続けようとは思っている。