家族の重要性

夏休みが始まった。

訪問先でも、時々夏休み中の孫が遊びに来てることがある。

その孫を見る患者さんの表情は、これまで見たことがない良い笑顔だ。

 

在宅生活ではやはり家族の存在が大きくなる。「介護要員」としての存在はもちろんであるが、もうひとつ違う側面からの家族の重要性がある。

 

マズロー欲求」というものは学校の授業などで一度は聞いたことがあるのではないだろうか。

簡単に言うと、人間の欲求には5段階あり、それがピラミッドのように構成されているというものである。

最も下に位置する「生理的欲求」から順に、「安全欲求」→「社会的欲求」→「尊厳欲求」→「自己実現欲求」と階層状になっている。

 

具体的には、「生理的欲求」は食べたい・寝たい、「安全欲求」は安全な家に住みたい・健康に暮らしたい、「社会的欲求」は集団に属したい・仲間が欲しい、「尊厳的欲求」は人に認められたい・尊敬されたい、「自己実現欲求」は創造的な活動をしたい、などである。

 

「生理的欲求」や「安全欲求」は医療・介護サービスである程度はサポートすることができる。

そしてそれ以上の欲求を満たすことも大切なことである。だからリハビリテーションの中でも、患者さんを社会的参加に促すことは重要なこととなっているが、病前より職場以外のコミュニティに参加したりしていない限り、新たな社会への参加は用意ではない。

 

しかし家族は別である。子から孫へと広がっていく家族というひとつの集団はその人が生きてきた証であり、ずっとそこへ所属して生きてきた結果作られたものである。

したがって特別家族の仲が悪いというものでなければ、「社会的欲求」は満たされる。

さらに「じいちゃん!」、「ばあちゃん!」と慕われたり、その孫にお年玉などをやったりする行為により「尊厳的欲求」が満たされる。

 

世の中にはいろいろな家族がいる。だから必ずしも、自分の子たちと仲が良いというわけでもないだろう。

しかし、家族が人間のもつ欲求を満たす可能性があることは事実である。