営業の仕事

訪問看護ステーションで働くようになって、はじめて経験したのが「営業」という仕事である。(「院内営業」といって、医師や看護師にリハ処方をお願いしてまわることはあったが)

 

入職当初は、まだ私の勤めている訪問看護ステーション自体が出来たばかりでもあり、患者さんを紹介してもらえるようにケアマネージャーがいる事業所をいろいろとまわって営業をした。(時々、患者さん自らが電話で依頼してくることもあるがそれは極稀なこと。ほぼケアマネージャー経由での訪問リハの依頼である)

 

営業のためにまず、市内にあるケアマネージャーがいる事業所の住所を調べ上げた。次に、チラシになるような紙を作成し、そこに訪問看護ステーションの名前と住所と、更には私自身の自己紹介と、アピールポイントを書いた。

後はそれをもって、しらみつぶしに自転車で回り続けた。

 

はっきり言って最初の緊張感は半端なかった。事業所の前に立ち、チャイムを鳴らすまでの瞬間がどんなに長く感じられたことか。

話す内容はすでに練習済みなので、後はそれを実行に移すのみであった。

 

チラシと自分の名刺を渡して挨拶し終わった時には、もう喉はカラカラで、変な高揚感があった。

そうして何軒か回れば、その後はもう勢いである。

間が空くとまた緊張感が高まってくるので、なるべく連続で営業し続けた。

 

しかしそうして行った営業も、実際に実を結ぶのはほとんどないのが現状だった(これは私の営業が下手だったというのも大きな原因かもしれない)。

そうした営業活動をしたのはこれまで2回。こちらからモノを売る営業ではない。ケアマネージャーの方にリハを行うべき患者さんがいない限り、紹介の仕様もないのだ。

 

それからは、毎月チラシを事業所へ送ったり、自分の勤め先である訪問看護ステーションのウェブサイトにブログを書いて集客を試みたりといろいろとやってみた。

 

結局は少しずつ訪問看護ステーションとしての実績を伸ばして、周りに知れ渡るようになり、紹介される患者さんがポツポツと増えてきたのが事実である。まずは患者さんを通して繋がりを持つことが重要で、直接的な営業活動の効果は少ないように思える。

 

飛び込み営業活動が絶対に必要とは思わない。しかし、患者さんを紹介してもらえるよう、チラシの作成や毎月の報告書や、ケアマネージャーとの連絡のやり取りや、患者さんからの評判を得るなど多くのことを営業として捉えていくことが重要なのである。

 

それでも営業という仕事を少しでも噛じったことは社会を知るという意味では大きい。待っていても客は来ないし、会社にとって稼ぎを持ちこむことのできる営業の仕事がどれほど価値が大きいのか実感できた。