訪問リハの現状を読む

2018年の診療報酬改訂、介護報酬改訂に向けて厚生労働省のウェブサイト上にあげられている資料から訪問リハの現状を垣間見ることができる。

 

 これを読んで始めの感想は、訪問看護ステーションに所属する療法士が訪問リハを行う割合が高くなることがあまり良く思われていないということである。

 

例えば、「訪問看護」の「現状・課題」として、

2.医療ニーズに応じた利用者に対応する訪問看護の質について(理学療法士等による訪問看護について)
訪問看護ステーションにおける理学療法士等による訪問は、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させるという位置づけと
されている。【参考資料P31】
○ 訪問リハビリテーションの請求事業所数及び利用者数は年々増加している。【参考資料P32】
また、理学療法士等による訪問看護については、平成21年頃より増加しており、訪問看護単位数の約31%を占め、特に要支援者については、理学療法士等による単位数が約半数を占める。【参考資料
P33】
理学療法士等のみの訪問看護の利用者は全体で約22%であり、要支援1、要支援2ではその割合は約35%、約39%で、全体の割合よりも高い。また、理学療法士等のみの訪問看護利用者について、
「看護師が訪問することは基本的にはない」とした割合は約22%である。【参考資料P34、35】
○ 従事者のうち理学療法士等の割合が20%未満の訪問看護ステーションが約75%である一方で、理学療法士等が60%以上の事業所の割合は約3%である。また、理学療法士等が10人以上の訪問看護ステーションは平成21年の20か所から平成27年の138か所へと約7倍増加している。【参考資料P36】
訪問看護の利用者について、理学療法士等の割合が20%未満の事業所では要支援者の割合が約10%である一方、理学療法士等の割合80%以上の事業所では約18%となっている。【参考資料P37】”

 

とその文脈から療法士の訪問割合が増加していることが問題であると言われていることは明らかである。
訪問看護ステーションの主は、看護師であり、在宅患者の緊急時や看取りへの対応という役割を担うことが望まれているのだろう。


療法士としての私にとってそれは全く納得できることである。一方で、今後どのように仕事へ制限が加わってくるのか怖さをもっているのも事実である。

 

ここで療法士等が10人以上の訪問看護ステーションが平成21年から平成27年のあいだに約7倍増加している理由は、療法士が現状では自ら開業できないため、訪問看護ステーションの形をとることで開業するという形に目を
つけた療法士が増加したためだろう。

したがってこういった訪問看護ステーションでは24時間対応などの看護師に求められているサービスを提供できず、そして看護師のサービス数を増やすことができず、その結果看護師も増やすことができないという循環になっているのだ。

 

ただ、需要があるからそういった増加が見られることも事実である。

現状では急性期、回復期を終え自宅に戻ってくることが出来た患者さんのリハを継続して行えるのは外来リハ、通所リハ、訪問リハの3つになる。

外来リハは病院のマンパワーの限界がありあまり受け付けない傾向であり、通所リハはある程度外出ができるようになった患者さんが多いということもあり、在宅復帰したばかりの患者さんの受け皿としては事実上訪問リハになっているのだ。

 

そこで看護職員の代わりに訪問させるという位置づけであるとしても、これまで病院で提供されてきたような療法士によるリハではなく、看護師によるリハで患者さんの要望に応えられるかといっても難しいものがある。

 

今後についてのひとつの予測としては、小規模の訪問看護ステーションではなく中大規模の訪問看護ステーションへの統合が進み、そこから看護師を中心とした中で、療法士の訪問リハも行なわれるというのが健全な形として成り立っていくのかもしれない。