成果主義について
訪問リハの世界では、時々「成果報酬」という言葉を耳にすることがある。
要するに、訪問した件数によって給与が増えるということである。
私の勤める訪問看護ステーションでも「成果報酬」の話が持ち上がったことが何度もある。しかし、現在のところ持ち上がるだけで、結局は廃案となっている。
バリバリ働きたいという人間にとってはこの成果報酬はとても魅力的な響きがある。
ただ注意しておかなければならいことも同様にある。
モノを売ってそれがその会社にいる会社員全員の仕事につながる営業とは違い、訪問リハは実際にサービスを行うのは一人だけである。
ケアマネージャー等への営業力のある療法士のみが多くの患者さんを抱え、営業力のない他療法士は少ない患者さん数となる。
暇な療法士はその内、その会社を辞めていくだろう。
営業力のある療法士は会社を通してではなく、直でケアマネージャーと連絡をとるようになる。
そうすると、徐々に会社内では黒く渦巻いた感情が生じることになる。
組織というものは、こうした小さなほころびから段々と大きな裂け目となって、人が去っていくということを、今の小さな訪問看護ステーションで働き始めて何度も見てきた。
そして成果報酬といっても、やり手の営業マン達のように、大きな報酬を得られるわではないということを忘れてはいけない。
療法士が得られるプラスで得られる収入など所詮数万円〜数十万円でしかないのだ。
数百万円、数千万円という、時に成果がない時の給与を補えるレベルからは程遠い。
求人広告の給与説明で、「成果報酬、多い人では600万円以上稼いでいます」などというのも、すぐには飛びつかずに、よく考える必要がある。