採用試験で落ちたこと

これまで働いてきた中で、ここで仕事をしたい!と思った病院がある。
この時は面接などに対してかなり事前準備をしたり、自己アピールを履歴書やら職務経歴書などに書いたりした。
新卒ではなく、転職での自己アピールなので、これまで働いてきた仕事についてや職場で行ったこと、学会で発表したことなどを書き綴った。
しかし念願叶わず採用試験で落ちてしまった。

それから数週間経って、事前に病院見学にも行ったときに懇意にしてもらったその病院の療法士長から電話がかかってきた。
なんでもその方の全職場の医師がリハビリテーション科を開設しようと療法士を探しているので、一度見学に行ってみてはどうかという内容であった。

その電話で近況などを話しているうちに、なぜ採用されなかったのかの理由をオフレコということで話してくれた。
経歴や面接での印象、ペーパーテストは問題なかったのだが、最終的に「年齢」が問題となったのである。人気のある病院で他にも十数人の応募者があったようだ。給与は年齢を考慮に入れたものになるため、最終判断は人件費を抑えられる「年齢」が材料となったとのことだった。

それを聞いて、マイナスの感情が特に沸いたわけではない。
ただ改めて事実を知って悲しくもあった。

それまで所謂手に職をもった専門職として療法士を捉えてきていた。
だから急性期病院で働いていたことや、学会発表を行ったこと、管理職をしたことなどもプラスの材料になっていくだろうと思っていたがそれはあくまでも自分自身の中でのものでしかなかった。
病院というひとつの会社組織では、療法士のそういった経歴はほとんど関心に値しない。
技術やそれまでの経験などで、患者さんを呼び込むことは療法士にはできないのだ。

これはしかし自分の仕事を外から見るという点では本当に良かったと思っている。
独りよがりになっていては、見えないものがたくさん出てくる。
リハビリテーション療法士という仕事の世間一般から見た価値、自分が担当する患者さんから見た価値、ひとつの仕事をする自分にとっての価値、様々な価値観で自分の仕事を捉えることが出来る方がいい。
そうすれば、給与への無意味な不満はなくなり、自分の知識や技術を上げていこう思ったり、社会に役立っているという働きがいや自尊心をなんとか保って生きていくことができるような気がする。

辛いこともあるが、外からの評価は受ける機会を持った方が良い。