多くの人に支えられて可能なサービス

「もう少し、介護に関わる人たちの給料が上がるように国も配慮してあげればいいのにね」

患者さんとの会話の中で時々出てくる内容である。
そして、医療なり介護なりのサービスを受けている人たちのほとんどがその財源がどう成り立っているのか知らないのだと思う。

そういう私自身も実際に医療・介護の世界に入って仕事をしていなければ、そういうことについては無関心で、知らないままであるのは確実である。

現在の介護サービスにかかる費用のうち利用者が負担するのは1割または2割である。
それ以外の部分は半分が他の人々が支払った介護保険料から支払われる。そして残りの半分は、国・都道府県・市町村が負担している(つまり、人々が支払った税金から支払われている)のだ。
医療サービスにおいても、患者負担は1~3割で、国民が支払っている保険料約4割、税金からが約5割となっている。

介護のサービス費用を上げることは他の人々の保険費や税金を上げることにもつながり、結果的に若い世代への負担を大きく増やすことになる。現状でも若い世代への負担は大きくそれは問題である。

「私たち介護の必要な人たちのために一生懸命がんばっているのに低所得なのは気の毒。だから給与が上がるような政治を国が行えばいいのに、どうしてしないの?」というのは、取りようによっては、勤労世代にとってはかなり残酷な発言であるのだ。

こういう会話をする度に、自分が受けているサービスが多くの人々の見えない仕事によって支えられているということを知ることが必要だと思ってしまうのだ。