子どもの教育ができるのか

訪問リハビリテーションの患者さんには少数だが子どももおり、その中には中学生の年代の子もいる。

 

小さい頃からの病気のためか、親がどうしても厳しい態度をとれず、甘やかしがちになることがあるようで、私が訪問している中にもそんな子がいる。

 

私自身はこれまで普通の病院で働いており、小児科の患者さんでは骨折や白血病、脳腫瘍の手術後のリハビリテーションは行った経験があった。しかし、脳性麻痺をはじめとするいわゆる発達障害の子のリハビリテーションを行ったことはなかった。そのため、「療育」なる言葉も学生時や教科書でした見聞きすることがなかった。そういうわけで具体的に「療育」というものがどういうものなのか、よくわからずにいる。

 

一緒に担当している看護師などは、その子供の態度が悪かったりすると、将来のことを考えてどういうふうに振る舞わないといけないかなども教育していると話している。しかし、私はどうしてもその子を教育するという行動は取れないでいる。

 

まず、私は教育について何も知らない素人である。したがって自分がその子に良かれと思って言うことが本当に正しいのかがわかならい。子供を育てている経験や自分の経験などごくごくわずかなものでしかなく、それが正しいかどうかやはり分からない。もしかすると思い込みかもしれないのだ。

 

また、自分の子どもであれば、彼らが大人になるまで育て上げるから責任をもつことになる。しかし、リハや看護で関わるのはわずかな時間であり、仮に大人になるまで関わることになるとしても、所詮は他人の子であり責任はほとんどないも等しい。こちらが思う勝手なことを言う度胸は私にはない。

 

リハビリテーションの専門家として関わることしか私はできないし、本当の教育などというものも専門家や親(あるいは、その子の将来に責任をしっかりもつ覚悟がある者)にしかできないのではないかと思っている。