臨床実習でのパワハラ

パワハラ」という言葉が世間一般に広がったのは最近のことだが、こういう言葉が広がることで”それが問題のある行為だ”ということが知られていくことは歓迎したい。

例えば私が学生の時には、臨床実習施設で、指導者から「パワハラ」を受けていた学生は数多くいた。だから臨床実習中に「うつ」になったり、療法士になることを諦めた友人が周りにいた。

 

本人の自覚の有無に限らず、実習指導者は担当学生の合否を決定するだけの力を持っていたのだが、それだけでもかなり学生は顔色を見ずにはいられない状況であった。約2ヵ月近くずっと一緒に行動するので、お互いに気分の変動が影響するし、それが最悪な形として出てしまうこともあるだろう。しかし、その当時は「パワハラ」なる言葉もなく、当然そういうふうな”権力”による傲慢な行為がはっきりと問題であるとされていなかった。

 

「セクハラ」にしても、「パワハラ」にしてもその言葉が徐々に社会に浸透していき、そういう行動が問題であるということも浸透していった。今でも学生からは、実習そのものの大変さというより、実習施設によっては精神的な苦痛を強く感じていることを聞く。しかしそれを乗り越えなければ、学校を卒業することができず、結果療法士になることもできない。そういう話を聞くたびに、うつになったり、途中で退学して行った友人たちを今でも思い出す。