不都合な真実

残酷な「遺伝の真実」あなたの努力はなぜ報われないのか(安藤 寿康) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)

 

知能と遺伝は大きく関係があること、音楽的才能や身体的特徴(身長や体重)は遺伝がさらに大きく関係することはもう大分前から分かっていることらしい。それでも、努力すれば何とかなると私たちは思い、あるいは思い込まされ学生時代からそして今でも頑張っている。努力することや頑張りは素晴らしいことであり、大切なことである。しかし、頑張っても同仕様もないことがあることを先の知能や音楽的才能と遺伝との関係性から思い知ると何ともやるせなくなる。一方で、皆が前ならえで同じ方向で努力するのではなく、自分に適した方向へ努力すればそれは結果として現れることになることも分かる。

 

同じように病気や障がいに関しても人の体である以上現段階で可能なことは研究され数値化されていることが多い。この病気にはこの治療法が最適で治癒の見込みはどれくらいであるとか。通常のリハビリテーションも一応医学であり、どの病気や障がいへどの運動療法がどれくらい結果をもたらすかは分かっているものもある。だからこそ心身の機能を回復させることだけではなく、日常生活動作や社会参加を促す方法をいろいろ考えることも重要だと言われている。

 

ここまでの遺伝の話や病気の話は確かに真実ではある。しかしその真実を受け入れられる程の頭の柔軟さや広さを持っているか個々人で異なる。子ども頃からただ努力することが正しい生き方だとして育ってきた私たちにはその柔軟さをもつことは難しいことだ。その努力は誰にも否定できない。不都合な真実を受け入れられるかどうかはたとえ間違っているとしても最終的には個人によるしかない。