車運転を誰が止められるか

高齢ドライバーの事故をニュースで報じられることが少なくない。大きな病気を経たあとでも可能ならば運転することに問題はない。しかし周囲から判断して車の運転はやめた方がいいという場合もまたある。

 

訪問リハビリテーションでもそのような症例を何例か経験した。最も怖かったのはALSという全身の運動麻痺が生じる疾患の高齢患者さんでの報告である。まだなんとか歩行は出来る状態だが明らかに手足の筋力低下が進んでいた。それでも車を運転することが生きがいでもあり、運転しないと自分で買い物に行けないと言って、周囲がもう車の運転は止めるように言っても聞く耳持たずであった。どうすればいいかと議論になったが、主治医からもはっきり言ってもらう他にこれといった解決策が出なかった。

 

脳卒中の場合でも大きな運動麻痺がなかったとしても、脳血管性の認知機能低下などが起きているケースも少なくない。本人を混じえた担当者会議でも車の運転はやめた方が良いと助言されて、その場では分かったと納得しても、やはり車に乗り続けているということが分かった。さすがに車を取り上げる権利は誰にもない。

 

怖いことだが普段運転したり、道を歩いたり、自転車に乗っている時もそういうドライバーがいることを頭の片隅に置いておいた方がいいのかもしれない。