訓練室でのリハと訪問リハとの違い

より生活に密着したリハビリテーションを患者さんの実際に生活している自宅で提供できるという事が訪問リハビリテーションのメリットのひとつに挙げられることが多い。しかし今回は訓練室でのリハビリテーションだからこそ可能なメリットを考えさせられたので書いておきたい。

 

ある子どもの歩行訓練の指示が主治医から訪問リハビリテーションへ出た。かつて通っていた通園施設で下肢装具を作製し歩行訓練を行っていたそうだが引越しのため通えなくなった。

 

訪問前までは下肢装具での歩行訓練をイメージしていたが、実際に会ってみると両足の運動麻痺や筋肉の過剰な収縮が見られた。とてもではないが装具を履いて歩行訓練をこなすというのは不可能なのだ。まだまだ相当な介助がないと全身に力が入ってただ歩かせているだけになってしまいそうだった。その時この子に必要なのは少しでも安心して歩けるための療法士の介助と更に平行棒等の物的介助の両方であった。

 

しかし自宅には当然だが平行棒の類はない。

この場合は恐らく訓練室での歩行訓練の方が通常は適している。この子にとって「歩行」とは、これから新たに獲得していく行為である。リハビリテーションで最も必要とされているのは今の生活環境での可能な移動手段の獲得ではない。そうは言っても何とか適切なリハビリテーションを提供しなくてはいけない。そのためにどんなリハビリテーションを、自宅の環境でどう提供していくか考えていくのが訪問リハビリテーションでのやりがいでもある。