住宅改修が難しい時には

入院先の病院から退院し、すぐに訪問リハビリテーションが始まる患者さんがいる。その場合、リハビリテーション病院からの退院となると療法士の時間もあり、また退院までのスケジュールも整えられているので、自宅生活を送るのに必要な手すりや福祉用具などの住宅改修も行われていることがほとんどである。しかし一般的な病院では、療法士の時間もなく、退院が決まって退院するまで一気に進むので、住宅改修は訪問リハビリテーションの方でよろしくということになる事がある。

 

さて、入院先から届くリハビリテーションサマリーには転倒の危険性が高いため手すり等は必要と思われますと書かれているのだが、実際に患者さんの自宅を訪問すると全ての家が改修可能という訳ではないという事実に直面する。当然家が狭ければ、手すり等をつけるとかえって邪魔になることさえある。患者さんの家にあるいろいろな生活用具は、これまでの生活の中でここが一番便利と言うことでそこに置かれている。その配置を変えるのは他の場所の確保が難しかったり、家族からの要望で出来なかったりする。

 

そういう場合は闇雲に手すりをつけようとはせず、どこを支えにして歩けば安全か、転倒の危険性はどれくらい高いかといった動作の確認を行う。壁を使っての伝い歩きや、生活用品だって使い方を誤らなければ立派支えとなるのだ。住宅改修が難しい時には、患者さんの動作を安定させるように既にあるモノを使うということがどうしても必要となり、それで満足して安定な動作を患者さんに行ってもらえるようにもなる。