医療の仕事とAIについて

人口知能(AI)やロボット技術の進歩によって将来消滅してしまう可能性のある仕事などがネットや書籍等で紹介されることがある。そして医療費増加の歯止めや他のサービス業に比べての待ち時間や効率性の悪さから医師や他の医療職もまた、将来AIやロボットに取って代わり、今よりもっと便利なもなものになっているだろうという話も聞く。

 

しかし、実際に医療職として働いていたり、自分自身が入院患者になったり、子どもが大病して通院している身としてはこれから先も医療の仕事はそう簡単にAIやロボットに代わることはないと確信している。確かかにそれらの高度な技術は、診断や治療の評価判定、更に医療ミスを防ぐという分野では躍進していくだろう。ただし、実際の医療の現場ではもっと泥臭くて、人の手がかかる。自動車を始めとした製品を作るのとは性格が大きく異なっている。全身麻酔が聞いて、体動も意思もなくなっている患者さんがあいてなら、手術ロボット”ダヴィンチ”のようのな技術が有用だろう。しかし全身麻酔による手術適用となる患者さんよりもずっと多く医療が相手にする患者さんは多い。

 

例えばリハビリテーションの世界ではだいぶ前からCPMという関節可動域改善訓練機器があった。自動的に関節可動域の維持や改善訓練が行えるという機械である。それでも現場で見ていて、それをセッティングするために必要な看護師の業務、その効果が怪しかった(関節可動域制限は単純に動かせばいいというものではない。筋肉、靭帯、疼痛、皮膚等など原因が異なれば当然解決方法も異なる)。また実際に患者になった身からは、症状がどのようなものかを視診、触診、そして長年の医師の経験から得られる直観、そして治療時の看護師の細かな業務など、とてもじゃないがAIやロボットにすべてが置き換わるのは、その細かさやその場や患者さんによって必要となる融通性から不可能だろうと分かった。

 

書物もウェブサイトも、ある意味過激なことを言わなければ注目を浴びず売り上げにつながらない。だから医療費の向上や、医師や看護師の人不足などからAIやロボットが医療職に置き換わっていくような事が書かれるが、現実はそうはならないだろう。