介護度の曖昧さ

この時期は担当している訪問リハビリテーションの患者さんの担当者会議が立て続けにあった。ほとんどが大きな変わりがなく、従来通りの計画を更新するという形である。会議と言っても話の中身は現状報告と他職種同士の確認作業である。

 

そんな中要支援の患者さんの介護度が要介護となった。療法士から見れば日常生活、心身機能とも変わりがないので、同じく違う曜日に関わっている療法士と首を傾げていた。一方で入院時に介護度の審査を受け、退院後明らかに良くなった患者さんは、日頃出来ていることも出来ないと言って介護度が変わらなかったので安心したと思いを語っていた。

 

年々要介護者や要支援者は大きく増えており、一人一人を細かく審査するのは無理な話だ。だから上記のような違和感が多少生じるのは必然的なことだ。患者さんに関わっている者としては、彼ら・彼女らが現状を維持できていたり、少しずつでも改善していたらそれで良いとするしかない。介護度を判定するのは私たちの仕事ではないからだ。

 

しかし介護度を少しでも下げることはリハビリテーションに求められていることではある。それが将来適用に保険点数上の加算に影響したり、訪問リハビリテーションの有用性の評価に影響したりするだろう。一方で、患者さん側としてはもし今の生活が維持できていた時、介護度が上がるような審査で喜びはすれど(実際にはそんな患者さんはほとんどいないが)、現状のサービスが受けられなくなる可能性があるような審査結果(介護度が下がるということ)を良かったと思うことが果たしてあるのだろうか?という疑問が残る。このあたりの評価がどのようになされていくのか、厚生労働省の案を実は興味深く注視している。