現状維持を一番望む

このところ訪問リハビリテーションの患者さんの担当者会議が重なった。患者さんに日頃関わっている様々な職種や患者さんとその家族が集まって現状とこれからの目標について話合う貴重な機会である。

 

そこでは普段目にしない患者さんの様子を見ることができる。訪問リハビリテーションを行っているようなマンツーマンの雰囲気ではなく、多くの人や家族が集まる雰囲気の中で日頃の気持ちを素直に吐き出しやすいのかもしれない。

 

そういった会議の締めとして患者さんにこれからどうなりたいか?、どんな生活を送っていきたいか?を尋ねるのだが、そのほとんどが「今のままの生活を続けられたらそれでいい」というものである。病気やそれに伴う障がいをもって日々リハビリテーションや介護を受け、少しずつ元の生活を取り戻しているとはいえ、老化は止められず時間を追うごとにその影響が今度は出てきているのを感じているのがその言動から分かる。

 

だからこそこれから望むことは?と聞かれても現状を維持できるので精一杯だと悟り、「今の生活を続けたい」とその気持ちを話す。リハビリテーションの目標というと、どうしてもより良くなる事とどうしても思ってしまうのだが高齢者に”もっともっと”と望むのは酷な事であり、それは患者さんに関わる職種の多くが分かってはいる。だから担当者会議で、患者さんの「これからも今の生活ができたら」という言葉を聞いた時、それを前向きに受け入れるしかない。