パーキンソン病の患者さんの改善

難病と言われる中でもパーキンソン病リハビリテーションでも関わることが多い疾患である。病気勤務の時でも訪問勤務になってからでも、数多くの患者さんに関わらせてもらった。

 

初期の頃はリハビリテーションの効果を実感出来るが、ある程度病状が進行してしまうとリハビリテーションの効果が薄いのが現実である。その場合は何よりも「薬」の効き方が全てであると言っても過言ではないと日々の臨床では実感していた。しかしパーキンソン病の患者さんにつきまとう薬の効果の持続時間の短縮(いわゆる「ウェアリングオフ」)がどうしても避けられなかった。

 

訪問リハビリテーションでもある時はすごくスムーズに基本動作や生活動作が出来ていた患者さんが、ある時はまったく別人のように固まってしまったようにしか動作が出来なくなっているという場面珍しくなかった。そしてそういう状態が長くなるとともに、リハビリテーションの効果もなくなっていく一方であり、どうすればいいのかといつも悩んでいた。

 

ところがある患者さんがパーキンソン病治療のために胃瘻を作る手術を受けるということでしばらく休みとなった。そして手術後、退院してきて驚いたのが、持続したスムーズな体の動きが可能で、それまでとは明らかに違って良くなっていた。立ち上がり〜歩行、更には難しくなっていた箸での食事も問題なく出来るようになっていた。

 

デュオドーパ| 順天堂大学医学部 【脳神経内科】

順天堂大学医学部付属順天堂医院 神経内科 より

 

患者さんが良くなったのが何よりも嬉しかったが、やはりパーキンソン病では薬による治療があってこそのリハビリテーションであるということが再認識できたことも大きな経験だった。最近流行っている脳科学に基づいたリハビリテーションや、パーキンソン病への特殊なリハビリテーション等の研修医が盛んだが、リハビリテーションだけではどうにもならないという限界は認識しておくべきである。