3分診療と、60分リハ

私は毎年質の悪い風邪をこじらせて病院のお世話になる。また子どもができてからはやはりワンシーズンに1回は耳鼻科や小児科のお世話になっている。幸い診察してもらう先生はいつもしっかりと診断、治療してくれ、私も子どもも治癒している。確かに待ち時間は長く、その代わり診療時間は数分であることが多い。そして私はいつもこの短い診療時間で的確に診断してくれ、治療や薬の処方をしてくれる医師をありがたく思っている。もちろん病気の種類や初診か再診かにもよるが、最短時間で最高の結果を出すということに憧れてしまう。一般的には手術もできるだけ侵襲を少なくし、短い時間で実施する方がその後の患者の体への負担が少なく理想的とされている。

 

さて、なぜ私がそのような時間の短さに憧れるかであるが、リハビリテーションではその逆に長い時間をかける方がより良いリハビリテーションだとされることが多いからである。だいたいリハビリテーションの時間は制度で決められており、20分、40分、60分(あるいは30分未満かそれ以上か)となる。保険点数も60分が一番高い(最も稼げる)。患者さんやその家族そしてケアマネージャーも20分よりも60分を希望する方が多い。需要も供給も長い時間をかける程良いということで、そういう流れになってしまっている。しかし、患者さんによっては20分で十分効果が出せる患者さんも少なくない。あとは自主訓練課題を提供して毎日それをやってもらい、また20分のリハビリテーションで調整して、新たな課題を提供するという好循環でどんどん患者さんが良くなるというのが理想である。1日24時間、1週間7日の中で考えれば60分だろうが20分だろうがその時間内の運動量はほぼ変わらない。だったら、短い時間で成果が出るようにする方が医療費・介護費の面からも良いと思うのだがそうではない現状がある。

 

訪問リハビリテーションでは特に一人の患者さんにゆっくりサービスを提供して貰えるだけの診療報酬を得なければ経営的に成り立っていかない。医療といえど医師の診察・治療とはまったく違うのがリハビリテーションの世界である。だから、リハビリテーションに「治療」という言葉は似合わない。