住居について

訪問リハビリテーションの仕事をしていて高齢者専用賃貸住宅や有料老人ホームに訪問することが増えてきているのこの数年での実感である。年老いた場合、そういった高齢者に的を絞った住宅で過ごすことはサービスの充実や介護する家族の安心感など利点は多い。ただそれらの住宅で暮らすことになり、逆に身体機能や認知機能が低下していく人たちを目にしてきたのも事実である。


高齢者専用賃貸住宅や有料老人ホームは、基本的に居住者にとっては”自宅”であるが、完全な自宅であるとは言い難い。早朝から部屋の掃除や身体介護等の理由から(介護スタッフではあるが)他人が部屋に入ってくる。私が訪問した中の数少ない例ではあるが、そういった人たちはまず部屋に入ってくる前にノックなどはしてこない。「お早うございます」の挨拶と同時にガラガラとドアを開けて、「ああ、リハビリでしたか。また後で来ますね」と出て行く状況に何度となく遭遇している。そういった状況でついには生活のほとんど全てを任せる状況となり、身体を動かす機会も、何かを考える機会も減っていき、人によっては太っていきそれが原因で歩行が不安定になってくるというケースもあったくらいである。

 

一方で認知症の患者さんでは、高齢者専用賃貸住宅や有料老人ホームは本当に有難い存在だ。徘徊によるトラブルを防ぐことができる。また同居家族が介護疲れにより精神的な限界から救い、それによる同居家族による虐待も防ぐことができる。これまで自宅に住んでおり、訪問していた患者さんの中でそういった方々も何人もいた。

 

これから更にニーズも増加し、増えていくだろうこうした高齢者専用賃貸住宅や有料老人ホームに訪問リハビリテーションで伺う機会も増えていくだろう。