適切な医師の受診

私も含め患者さんは医師を目の前にするとなかなか思っていることが言えないことがある。依然訪問リハビリテーションで担当していた患者さんもそのような方だった。

 

ある日訪問すると、しきりにお尻の痛みを訴えていた。話を聴くと数日前に固めの便をやっとのことで出して、それから痛みが引かないとのことだった。週に1回という頻度で近くの内科に通院している患者さんだったので、先生に診てもらったかを尋ねると問診はしてもらったが、「内科医なのでよく分からない」と言われてとりあえずの痛み止めを処方してもらったとのことだった。医師を前にして通常ではない痛みがあるということを伝えきれなかったのである。

 

それ以後も痛みが弱まることなく、逆に明らかに座ることさえも苦痛な程に痛みが増しているので、できるだけすぐに大きな病院に行って外科等の診察を受けた方がいいことを伝えてその日の訪問リハビリテーションは終わった。

 

それから1周間後に痛みの確認をすると、あれから病院の外科で診察してもらい、肛門周囲に存在した膿を取り出してもらったと話してくれた。それからも数日間は毎日処置のために通院し、抗生物質の処方を受けたとのことだった。幸い痛みもほとんど消失し、座っている時の表情も前回とはまったく違った。

患者さんとしては痛み止めでどうにかなると思っていたのかもしれないし、部位が部位だけにもう少し・もう少しだけ様子を見ようと先延ばしになっていたのかもしれない。

 

痛みを訴える患者さんは珍しくはないが、その痛みの程度(我慢できる程か、日常生活に何らかの影響が出る程か)、痛みの変化(軽減しているのか、増悪しているのか)に耳を傾け、医師の診察を受けるべきと考えられる時には何科の医師に診てもらった方がいいのか等のアドバイスをすることが症状を引き起こしている病気を少しでも早く治療するために訪問リハビリテーションの療法士にも出来ることである。