転倒の思わぬ原因
普段の生活で杖や手すりを使用して何とかひとりで歩けているような人の場合でも骨折こそしなかったものの実は転倒したのだという話を聞くことがある。その原因としてはただ単に足の筋力低下によって歩行が不安定であるというよりも通常私たちも経験するようなものも少なくない。訪問リハビリテーションで関わっている患者さんから聞いた中で代表的なものとして3つほど挙げてみる。
まず夜間や早朝、寝ていた状態からトイレに行くために起きたという状況である。寝ていた状態からすぐには体もすぐには動かず、意識状態もはっきりしていない。そういう状況では転倒する可能性がぐっと高くなる。
次に歩いている途中で急に呼びかけられた時。これは私も何回か経験している。何の前触れもなく急に「〇〇さん、ちょっと待って!」などと呼び止められると、おっとっとと、ふらついてしまう。特に急な方向転換はバランスを崩しやすい。
3つ目は、そこに椅子があると思っていたのになかったという状況。他の作業をしていてそちらに気を取られ、座ろうとしたり手で背もたれを支えようとした時に思っていた場所から離れた場所に椅子があった。そうなるともうバランスは崩れそのまままま転倒である。
こういった種類の転倒は不注意から起きるもので、なかなか全てを避けることが難しい。しかしそういった事があったのだと患者さんに伝えることで少しは意識を変えることが出来るかもしれない。