急変の訴えには耳をよく傾ける

訪問リハビリテーションに行っているとこの2、3日で急に手が動かしづらくなった、認知症の症状が強くなったと訴えられることがある。

 

急に手足が動かなくなったり、意識状態が悪くなったという場合には脳卒中などが考えられるので直ぐに状態を把握して病院へ行ってもらう必要がある。しかしいわゆる難病や認知症の患者さんの場合には悪くなった経過をじっくり尋ねる必要がある。こういった病気の患者さんの場合、確かに急性増悪というものもあるが、それよりも緩徐に症状が進その結果はっきり分かる症状として出ることが多い。したがって「悪くなった」と感じた原因が病気以外の何か他にある。

 

私がこれまで関わらせてもらった患者さんでは、やはり今のような冬場での訴えがほとんどであった。急激な気温変化によって筋肉が強張ったり、血流不良のため余計に麻痺した筋肉が動かしづらくなったり。また、夜間の失禁により着替えたりすることで睡眠不足やプライドの喪失が起こって他者に対して易怒的になったり、やる気をなくしたりが認知症症状の増悪に思われるということなどである。

 

もしそういったことが原因であるならば、自主トレーニングとしての筋肉のストレッチや軽度の運動を伝えたり、失禁で衣服が濡れないようにパットや専用オムツに変えることなどで対応ができる。そしてそれ以上に不安を感じていた患者さんやその家族を安心させることができる。

 

急変だからこそ慌てずに落ち着いて状態を把握し、対応することが大切になる。