恐怖は煽られていく

医療崩壊、介護難民、2025年問題、年金破綻、数え上げれば切がないほど医療や介護に関わる範囲だけでも恐怖を煽る話題が出てくる。いずれも人口や国家財政状況を云われると、そうなのかも知れないと思えるし、放っておくとと現実になる可能性もそれなりにあることばかりである。

 

こういう恐怖は人の心を一気に染めて行く。どうなるか分からないからこそ一層そうなるかも知れないという恐怖が独り歩きをし始めて、冷静さを失わせ、簡単に甘い言葉や都合のいい言葉に騙されしまう。どうにかして助かりたい、そういう気持ちを「お金」目当ての色んな人たちが言葉巧みに近づいて来るのを、医療や介護の世界で働いていると結構目にする。

 

本当にガンに効く食べ物があるのか?、骨盤を動かせば体の動きが良くなるのか?、軟骨成分なるものを飲めば膝の痛みは消えるのか?、その投資話にお金をつぎこめば老後の資金も大丈夫なのか?

 

これらに対しては当事者自身がたくさんの情報を得、何が正しいかを判断していく必要が出てくる。なかにはもっともらしい数字や統計を用意されていたりするが、それが正しいかどうか判断するのも結局当事者となり、言葉巧みに説明されると素人ではなかなか判断が難しいのは、どの分野の正解であろうと同じである。

 

多かれ少なかれ恐怖は必ず煽られる。

漠然と示された将来の不安に対してむやみに恐怖を抱くのは危険であるが、その将来に対して今から少しずつ備えておくことが最大の防御策だろう。