友だちとお茶する時間を

夫婦二人の生活でどちらかが病気になった時どこまで介護ができ、どこまで一緒に暮らし続けることが出来るのか、そういったことを考えさせてくれる機会は多い。訪問リハビリテーションで担当する患者さんにも夫婦二人での生活という方はたくさんいるからだ。

 

介護する夫や妻はこれまでとは違った生活が始まる。訪問看護訪問介護などを利用していてもほぼ24時間夫婦一緒にいると言ってもいい。それは介護という身体的な疲労だけではなく、精神的にも相当な疲労がある。「夫婦と言っても所詮は他人である」というのはそういった患者さんからもよく聞く言葉だが、それでも長い人生を一緒に暮らしてきたことで単なる他人以上の存在になることもあるらしい。精神的・肉体的な現界が来るまで介護を全うしようという気持ちが伝わって来る。

 

悲しかったり、怒ったり、喜んだり、笑いあったり、不平不満を言い合ったり、いろいろな波がある中でリハ、看護、介護の担当者が時々聞き手になるだけでもそういった波を何とか乗り越えていくことも出来るようだ。そこにほんの少し専門職としてのエッセンスを加えられればそれなりの価値があるのではないかと思う時がある。

 

訪問リハビリテーションを終えて、夫を介護している妻から、「明日友だちと久しぶりにお茶しに行くんです。2時間だけですが。」と笑顔で話す様子を見て、可能な限り夫婦二人で自宅生活をしていくためにそういう時間が必要なんだなと感じた。それを実現させるのはその夫婦の周りにいる多くの人である。