脳卒中の足のリハビリテーション

先日は脳卒中の手のリハビリテーションについて書いたので今日は足のリハビリテーションについて書きたい。

 

訪問リハビリテーションの患者さんでも足のリハビリテーション(下肢筋力増強、立位訓練、歩行訓練など)は手に比べて圧倒的に多い。患者さんは急性期病院、回復期病院でリハビリテーションを行い、急性期病院で全く動かなかった足が回復期病院でようやく動くようになり出し、立位から歩行訓練へと進み、ふらつきながらも何とか歩けるようになったという状態。訪問リハビリテーションではさらなる歩行の安定性向上と屋外歩行などが求められる。

 

順調なら歩行距離や下肢筋力を向上させることで、歩行は安定し、屋外歩行も可能となる。しかし病前より麻痺側に変形性股関節症を患っていたり、麻痺側とは反対側に変形性膝関節症などをかかえていたりすると、なかなか改善が難しい。リハビリテーションとしてはせっかく何とか歩けるようになった患者さんの股関節、膝関節を守りながら転倒しない歩行を目指している。ところが時折、それを見逃して、患者さんに歩様(歩き方)を意識的に変えさせようとする療法士がいる。当然真面目な患者さんであれば指示どおりに歩様を変え、その結果かかえていた股関節や膝関節に痛みを生じることになる。少なくとも歩様を変えるのはナンセンスである。長年歩いて身につけたものを変えるのは通常でも関節や筋肉にこれまでになかった負担をかけることになる。

 

脳卒中の足のリハビリテーションに限ったことではないが、歩様は変えるものではなく、筋力や関節可動域などが改善することによって、徐々に変わって行くものである。それを行わず、口頭にて歩き方を指示して患者さんの歩様を変えさせるのは問題である。