療法士だって基礎教養はあった方が良い

療法士になってからの初めの数年はとにかくいろんな研修会やセミナーに参加した。臨床に出ていざ患者さん前にすると、あの技術を身につければ治せるんじゃあないかとか無駄に夢を見てしまっていた。それで人気の研修会ともなると、受講するのに抽選をパスしなければいけなかったり、法外な研修費を払ったりしていた。はっきり言ってそうやって受けてきた研修会の9割が無駄金だと思える。ただし有名な技法名前を聞いても「ああ、そうですか」と聞き流してビビらなくなったぐらいだ。

 

特殊な考え方やそれに基づいた技術など、解剖学、生理学、運動学をしっかりと理解していれば嘘臭いものは直ぐに分かる。ただし中には、解剖学、生理学、運動学の知識を巧妙に取り入れてくるリハビリテーション技法もあるので、これはすごいのかもしれないと騙されそうになる。ただしそれも、もっと基礎的な教養である、物理、化学、生物学、国語・数学(論理や統計)といった知識ある程度あれば信じるに足るものかどうか分かるようになる。

 

療法士の仕事は今や患者さんだけを診ていても給与的には頭打ちである。そうなると、療法士自身を客にしてひと稼ぎしようとする者もわさわさと出てきて、いろいろな研修会や勉強会など開いてくる。療法士向けの研修会の相場としては一日一万円〜一万五千円といったところで、人数が集まればそれなりの額になる。騙されないようにするためには、それなりの基礎教養が必要だ。しかしそれに気づく前の向学心と理想に燃える若手療法士は格好のカモとされる。そして私もその一人であった。