これから療法士は「職人」ではやっていけないよ

時々だが看護師や患者さん、そして療法士自身からも「療法士は職人みたいなものだ」という言葉を聞く。これはポジティブな意味で捉えると、患者さんの運動機能や生活動作を少しでも良くするために一意専心、他には脇目もくれず働いているという雰囲気を表している。一方でネガティブに捉えると、頑固で、目の前の仕事にしか目が向いていないというふう事を表している。

 

さて、先日も療法士の国家試験が終了し、この春にまた新しい療法士が生まれることになる。10年以上も前から病院では療法士はすでに足りているので、これからは働く場も限られてくると言われていた。それでも療法士の数は増えている。需要と供給の関係からすると、まだまだ高齢者の数(患者さんの数)が増えて来るので供給過剰とならないだろうが、ピークを越えた後の反動がこのままでは大きいと予想できる。つまり、存在する療法士の数よりも、リハビリテーションを必要とする患者さんの数が減ってくる現実だ。

 

そうなってくると、リハビリテーションを行った場合の保険点数に目がつけられて、どんどん減らされていく。医療費の削減にはもってこいである。何しろ今のところ療法士集団に政治的な力はないに等しく、そういう状況に声を上げる者もない。

 

そいういった雰囲気を感じている療法士は少なからずいて、これまで培った技術知識を他の分野で活かしながら働き出している者も周りにはいる。そしてそういったフィールドで必要であり、重要となるのは、職人的な技術よりもむしろ営業力であり、コミュニケーション力である。医療職の中でも医師や看護師等に比べてリハビリテーション(療法士)は絶対に必要なものではない。もっともサービス業に近い医療職である。

 

これから必要なのは「職人」的なキャラクターではなく、患者さんにとってお金を払うに値するサービス(最低限のリハビリテーションの技術知識はもちろん必要だが)を提案できる「営業マン」的なキャラクターであると強く感じている。