振替が可能なリハと不可能な看護

自分自身はもちろん家族の行事でどうしても休みを取らなければならない時がある。訪問看護ステーションに勤めていると、療法士の場合はどうにか他の曜日に振替が可能である。しかし看護の場合は、振替では問題が生じることがほとんどで代行の者が対応しなければならない。これはリハビリテーションが所詮は生き死にに大きく関係することではない一方で、看護の方は生き死に直結する仕事であるということだからだ。

 

そのため訪問看護ではスタッフ数の確保や一日に訪問する件数の厳密な管理が療法士以上に必要となる。最近の訪問看護ステーションでは管理者こそ看護師であるが、経営者自身は療法士であるということが少なくない。そのためどうしてもそういった看護サイドへの細かな配慮に欠けてしまうことがあり、看護職員としては「経営者が何も分かってくれない」という不信が大きくなっていき退職につながることが多い。

 

通常どんなに小さな会社であろうと、経営者(社長)への信頼というものがないとなかなか勤め続けるということが難しい。私の場合も病院や訪問看護ステーションに勤め始めていた頃は、職場スタッフへの上司や経営者の理不尽な振る舞いを見聞きするとそれだけでその職場で働く意識はかなり下がっていた。しかし、私のように数社の転社経験をしてくると、スタッフのことを考える経営者や上司などいないに等しく、人間として自己の利益を最優先してしまうというのは当然だろうなと思えるようになる。したがって、もはや自分はフリーランス、正社員という契約社員であるという気持ちで働くので経営者の言動にもそれほど気持ちを上下にさせられることはなくなる。もちろん、正社員であるということは、保険や勤務環境においてはメリットがあるので正社員として働いてはいるが。

 

ただ、そういう気持ちの持ち方ができるかどうかは人それぞれである。ある意味そういう踏ん切りがつかない状況では、特に看護師としては訪問看護ステーションで働くのは「運」で左右されるものが大きい。