クリニックのリハビリテーション科に思うこと

訪問リハビリテーションで担当する患者さんの中には開業している整形外科に毎週通っている方がいる。どんな事をしているのかだが、医師の診察は月に一度程度であとは「リハビリをしている」という言葉が返ってくる。

 

その「リハビリ」の内容をたずねてみると、「電気を当てたり、ウォーターベッドに揺られたり」ということである。はっきり言ってそんなものはリハビリテーションではない。百歩譲って何らかの効果があればいいが、毒にも薬にもならない。あえて言うなら患者さんは気持ち良いかも知れない程度である。

 

それだけならまだ良い。時には歩けなくなっている患者さんに、しっかりとした評価もなく、「運動不足による筋力低下が原因だから訪問リハビリ来てもらって運動しなさい」と丸投げの状態がある。依頼があって訪問リハビリテーションを開始するに当たって評価すると、運動不足などではなく明らかに神経に由来する運動麻痺が起きているということさえある。

 

しかし患者さんのこれからの気持ちを考えれば決してこれまでの整形外科通院やいわゆる「リハビリ」が無駄だったとは言えない。また療法士は絶対に医師に逆らっては生きていけない存在である。また後ろを振り向いても同仕様もないない。療法士として「さあこここからが本当のリハビリテーションの始まりですよ、いろんな手段(運動療法、動作訓練、福祉用具、環境整備など)を使って今まで大変なままに放っておかれた状態から抜け出せるようにしますよ」という気持ちで訪問リハビリテーションに臨むだけであるが、モヤモヤした気持ちは抱えてはいる。