自主トレーニングの難しさ

「自主トレーニングはどんなふうにしたらいいですか?」と聞かれることが時々ある。確かに訪問リハビリテーションでのリハ時間では時間が少ないのは事実である。だから自主トレーニングを毎日続けて、運動の絶対量を増やすことには大きな意味がある。

 

しかしである、それはある程度の運動が自分自身で可能な患者さんである場合というのが現実である。まだまだ運動に療法士の介助が必要なレベルではなかなか効果的な自主トレーニングを行うのは難しい。こういうやっと運動が可能になる患者さんの場合、療法士が訪問リハビリテーションの時間で提供しているのは運動の「量」というよりも運動の「質」である。適切な介助によってなるべく動かし易い環境を整え、まだまだ筋力が弱い患者さんの運動をサポートする。したがって、患者さん自身がひとりでその運動の「質」を維持できると言えばそれは難しい。だからこそ療法士がマンツーマンでリハビリテーションを行う価値があるのだ。

 

そうとは言え、やる気になって、少しでも良くなりたいという患者さんの要望に応えることは職業人としてやるべきことである。自主トレーニングと一口で言っても実際はそう簡単ではない。私自身は悩みながら、それでもそれぞれの患者さんに最も意味があるメニューを伝えるようにしている。