手の運動麻痺は2年経っても改善はするか

訪問リハビリテーションという仕事環境のためか脳卒中の患者さんでも上肢のリハビリテーションを希望する方は下肢に比べると少ない。そして下肢の改善に比べると上肢の改善はADLに直結するような改善が難しいのは経験するところだ。さらに発症から1年以上経過した患者さんともなると運動機能の改善自体もなかなか期待しにくい。

 

しかし訪問リハビリテーションでの依頼の中にもどうしても手のリハビリテーションを行いたいという患者さんが数こそ少ないがいるのも事実である。そういった患者さんたちはわずかだが上肢や手指の中に随意的に動かせる部分がある。だからこそもう少し改善させたいと強い希望をもっている。

 

そこでのリハビリテーションは、まずは動かせる筋肉は徹底的に強化させる。わずかに動きが見られる筋肉であれば介助しながら運動できる可動域をさらに広げるように目指す。運動療法の後、道具を使用して手を動かせる。まずそれを何度も何度も実施する。そこで改善が見られれば、日常生活に使えそうな場面はないか検討し、自主トレーニングメニューを伝える。

 

そうして発症から1年や2年以上断つ患者さんにも改善が見られる事をこの訪問リハビリテーションの仕事で経験した。どんな代償を使ってでも生活動作の改善が第一とされるのが現状のリハビリテーションを取り巻く環境ではあるが、患者さんが諦めない限りは運動機能の改善を目指している。