闇落ち

「闇落ち」という言葉をご存じだろうか。

簡単に言うと、善人であった者がいつの間にか悪への道へ落ちて悪人になってしまうことである。そして「闇落ち」する人間の多くが、熱心で、真面目で、人一倍善意の心をもっている。

 

「なぜこんなに頑張っているのに周囲は理解しないのか?そればかりか自分の意図とは違う行為ばかりしている。そうだ、私の意図に背く者はすべて敵だ!」と自分の考えや価値観に反する者に敵意をもち、やがてそういった人たちを除外しようとする。

 

私が思うにこういった「闇落ち」的な心理や行動は、どんな人でも案外簡単に陥ってしまう。そういう自分自身もそういう経験がある。そして大概の場合「闇落ち」は自分自身を含めてかかわる人たちを不幸にする。組織は崩れ、人は猜疑心を持ち続け、目標も何もなくなってしまう。だからこそ自分が「闇落ち」しないように注意する必要がある。そのための最も効果的な方法は「集中しすぎないこと」「熱を入れすぎないこと」である。

 

具体的に訪問リハビリテーションでの話でいうと、一人の患者さんに自分の思いを入れすぎないこととなる。患者さんの中には、その境遇や現状、そして彼ら彼女らのもつキャラクターから普通以上に何とか力になりたい!と思わせる方がいる。その気持ちは人間であるから当然湧くものものであるし、悪いものではない。しかしその思いが強すぎると知らず知らずに「闇落ち」することにつながる。本当に自分の考えがその患者さんにとってベストな選択なのか?、関わる多くの職種の人たちと話し、そして彼らの話を受け入れ、多くの視点から考えた目標に向かってリハビリテーションや看護、そして生活サービスを提供していくことが重要だ。