小児のリハビリテーション

病院で働いていた頃はほぼ全ての担当患者さんが大人だった。小児の担当になったのは指折り数えられる程度である。

 

訪問リハビリテーションの場で働くようになってからも小児の担当は圧倒的に少ない。ただ病院時代と変わったことがひとつある。それは関わる濃度である。訪問リハビリテーションではその子どもの生活、家族、環境、学校、体と心そのどれもが大人の患者さん以上に注意しなければならない。だからこそ大人の患者さんでは味わうことのできない、醍醐味を経験出来るのも事実だ。

 

さてそんな経験の中でまず気づいたのは、就学前から通園施設やリハビリテーション、医師に関わっていたとしても、圧倒的に運動経験が足りないということ。運動能力的には日常生活動作を行う事ができるレベルにあるにも関わらず、自宅で自分でやるという経験が少ない。そのため家族もできないものと思い、思っていた以上に過介助となっている。それがまたその子の運動経験を減らし、いつまでもできないままという悪循環となる。

 

親としても毎日の家事や兄弟姉妹がいればその子らの育児、仕事等でどうしてもじっくりと関わる事ができないこともある。環境設定や使う食具などを整え、どこまで出来るかをリハビリテーションや看護の方から本来は就学に示す必要があるのではないだろうか。それが私が思っていた以上に出来ていないのが現状だ。

 

子どもにとっては毎日の生活動作を自分で行う事は、体を使う経験と共に何をどうしようかという意思決定の場でもあり、それは単純な知能以上の認知機能の成長にとって欠かせないものだと思っている。子どもにとって運動するという事は、自分で生活(遊ぶということも含めて)するという事の始まりで、それは自分で何をするかを考えるとても大切な一歩だ。それは訪問リハビリテーション訪問看護でしかサポートできないことのひとつだと実感している。