考えても分からないと皆は諦める

この4月からの保険制度の改定に伴い、患者さんはケアマネージャーや事業者からいろいろな説明を受けているようだ。そして患者さんの多くが「分からない」と言っている。恐らく患者さんの全員がよく分からない制度変更だと私は思っている。正直に言うと説明する側の私自身も制度変更については理解できにくいことが多い。

 

この介護保険制度を作っている側の人たちやそこに参加している側の人たちは、理解しているのだろう。しかし所々での辻褄合わせのために内容は複雑化し、その変更理由も実のところ取ってつけたようなものとなっている。それに対して「よく分からない」とはっきり言える者は少ない。なぜなら偉い人たちが作ったものだからそれはきっと本来なら理解できるものだろうと思い、「分からない」という事は自分の愚かさを認めることになると思っているからだ。そして患者さんにも理解できないままの説明をし、患者さん側も考えても分からないことを考える意味はなく、とにかく決められたことだと諦めるしかない。それは私たちサービスを提供する側も同様だ。

 

このように複雑にそれらしい理由づけをされ、私たち(サービスを受ける側もサービスを提供する側も)は思惑通りに行動し、生きていくしかなくなる。この流れから逃れるためには、何の後ろ盾も持たず自分自身の力のみでサービスを作る側へと回らなければならないのだが、与えられた事を真面目にこなすことだけしかしてこなかった私たちにはとてつもなく困難な事であることを悔しいが実感している。