サービスとは商品のこと、無料ではない

4月からの介護保険の改定にともなって最低3ヶ月に1度の看護師の訪問が義務付けられた。ここまでは患者さん、ケアマネージャーともに了承してもらえるが、その看護師の訪問によって料金が発生するという事に渋るケースが稀にあるのが現状だ。また訪問看護ステーションによっては自ら看護師の訪問に対しての報酬を辞退しているところもあるようだ。

 

医療や介護のサービスは、その対象が患者さんや要介護の人たちであり、どこかで「商売」であるという視点が忘れ去られることが時にある。例えば製造業は、自動車やテレビといった商品を作り、それを売ることで利益を得る。それが社員の給料になり、会社の設備投資となり、更に商品を開発増産するという循環があり、会社が成り立つ。そして医療や介護での商品とは、看護師や療法士等が患者さんに対して行う各種の専門行為だ。訪問看護では各専門職が患者さんを訪問し、アセスメントし、処置やリハビリテーションを行うことが商品なのだ。それに対して料金をもらわないという事は、商品を無料で提供するという事に他ならない。人に喜ばれるモノを売って利益を得るという会社という考えからは全く異なる。

 

もちろん、3ヶ月に1回の看護師の訪問を自社名の書かれたポケットティッシュやボールペンのような販売促進品のように考えるのなら料金を取らないということが出来るのかもしれない。しかしただでさえ、形として目に見えないが紛れもない「医療サービス」という商品をそのように扱うことはとてつもなく大きな負の遺産を築いている気がしてならない。