そのリハビリテーションは介護保険か医療保険か

介護保険医療保険

「2018年度介護報酬改定を読み解く」とするこちらの記事を読んだ。

www.nli-research.co.jp

 

訪問看護ステーションでリハビリテーション目的で患者さん宅へ出向く療法士として興味深い所がたくさんあった。以下の記述もその中のものである。

 

当局者は「同じ場所で同じ職員が医療と介護のどちらのリハビリテーションにも取り組めるようにしました。医療で取り組んだときには医療保険で請求し、介護で取り組んだときには介護保険で請求できるようにしています」と説明している

さて、現状入院患者さんは医療保険リハビリテーションが行われ、ある一定期間が過ぎると難病とされる疾患以外等を除いて介護保険でのリハビリテーションとなる。医療と介護の名前の通り、医療と介護の内容が今のところ大きく違う。しかしその実態(リハビリテーションの内容)としては大きく変わらない。周りを見ても実感としての違いといえば病院以外の自宅等で日常生活動作訓練を行うかどうかだ。しかし当局はリハビリテーションには医療と介護があるとしている。

 

「介護が医療に近づいている」というこのと真意

またこちらの記述も目を引かれた。

日本医師会は医療・介護連携を念頭に入れつつ、「介護が医療に近づいた。これまで医療で培ってきた手法を取り入れ、介護を理論面で強化していく必要がある」と述べている

やはり現在のところ医療と介護は大きく異なっているが、介護が医療に近づいていると述べられている。医師の治療がメインになる場合は明らかに医療だろう。だが医師の積極的な治療が済んだ時、それが医療なのか介護なのかのラインがある所までは徐々に薄れてきているという印象だ。病院以外の在宅等では、看護師以外の介護士がそういうライン上の仕事を行えるようになってきている。

以上から考えられるのは、単価の高い医療を抑えてそれより低い介護で代替していこうという事だ。もちろん介護の世界で働く人たちでも扱えるケースについてだ。医療の世界で働く人材は医師をはじめ高学歴であり一人前になるまでに相当な金額が必要である。医療機器や薬を開発する企業も同様である。一方で現状介護の世界で働く人材はそこまでの高学歴者は必要ない(仕事内容のレベルが高い低いとはまた違う話だ)必然的に介護費用の方が単価は低くなる。介護が医療に近づいているというよりも、リハビリテーションを含め介護に振れる内容のものは介護に振って行かなくてはならないということである。医療での人材不足や財政難という現状を考えると自然な流れだろう。