90代での積極的なリハは可能か?

90代の人の筋力の改善は可能か?

長寿化の中、訪問リハビリテーションで行く患者さんの中には90代の人も少なくない。しかしそのくらいの年になると認知症もあったり、覚醒状態にもないがあったりで家族やケアマネージャーが望んでいる、筋力の改善やADLの改善というのは難しい。なんといっても、こういう運動をして欲しいと思ってもそれがまた難しいのだ。一般的なコミュニケーションとは違い、指示通りに体を動かすというのは更に難しい壁がある。私たちでも、何かスポーツをする時に指導者からこうしろああしろと言われても実際その通りに動作するのは難しい。

 

リハビリテーション=筋トレ、ではない

そういう理由で一般的な運動療法での筋力増強は難しく、立ったり、歩いたり、車いすに移動したりという動作でなんとか筋力維持を図るのが限界であったりする。家族やケアマネージャーからは、”筋トレ”よろしくと言われるのだが、本気で90代の何らかの疾患を持っている人にそんなものが可能と思っているのか、あるいは本気では思っておらず、彼ら・彼女らの漠然としたリハビリテーションのイメージを”筋トレ”という言葉で表現されているのか分からない。とにかく、リハビリテーションは万能ではない。疾患、年齢、気持ち、意識状態、認知機能等を考えた上で現実的な目標を持って行わないと終わりのないリハビリテーションとなってしまう。