体の不思議な現象

人体のもつ不思議な現象

脳梗塞脳出血の影響で重度な運動麻痺を経た患者さんに時どき見られる不思議な現象がある。

 

肩の痛み

弛緩性の全く力が入らない患者さんに多いのが麻痺した側の肩の痛みだ。患者さんによると発症から1〜2ヶ月に強い肩の痛みがあったということだ。その後痛みが残る人と残らない人があるようだ。運動麻痺の改善も良好な人とそうでない人とがいる。

 

股関節の痛み 

もうひとつたまにあるのが、股関節の痛みが消えたという例。変形性股関節症のため痛みが酷く、整形外科医からも手術を勧められていたという患者さん。弛緩性の運動麻痺になったのだが、徐々に回復し、立ったり歩いたりが出来るようになって気づいたらのが股関節の痛みがなくなっていること。ただ、相当歩ける程に改善しても股関節が安定せずふらつきは続く。

 

痛みの説明は難しい

いずれも麻痺によって筋肉自体は直接影響を受けているが、それだけでは痛みの説明が難しい。脳梗塞脳出血による影響は筋肉だけではなく、関節を覆っている膜や靭帯など複雑な要素が絡みあっているようだ。体の不思議である。こういう点に注意していると体を扱う医学はとてつもなく興味深いと思えるようになる。