やる気は出すもの、出させるものではない

リハビリテーションには患者さんの能動的な行動が必要

リハビリテーションは薬や手術等とは違い、基本的に患者さん自らが能動的にならない限り成り立たない。そのためある程度の「やる気」がないと継続してリハビリテーションを行うのは困難なのが現実だ。短期間での関わりであれば、その「やる気」を出させるような声かけや促しは可能だろう。しかし、訪問リハビリテーションのような長期での関わりにならざるを得ない関わりの中では、療法士のうわべだけの促しでは限界がくる。

 

体を動かすには「やる気」が必要条件

誰もがそうであるが、基本的に体を動かすことは疲れることである。体に蓄えられているエネルギーを使って筋肉は動き、そのエネルギーが消耗されるので当然のことである。療法士としては、一人一人の患者さんに対して何らかの目標を見つけ、それを患者さんの「やる気」につなげてリハビリテーションを行うことを求められる。しかし人から設定された目標がそうそう強い動機付けになるのかどうかというと、これも自分自身のことを考えればよく分かるように、ならない。他人から目の前にニンジンをぶらさげられるのではなく、いかにして自分自身で気持ちを盛り上げられるかが「やる気」というものだろう。

 

「やる気」を持てる人とはどんな人か

数多くの患者さんに接してきていて「やる気」をもてる人たちは、仕事をもっている人、意地でも他人から介護(とりわけトイレに関して)を受けたくないという人と限られてくる。介護サービスが充実してきて、どうしても困難なことは他人の力で可能になってきた。それに加え、年を取るにつれて物事への「やる気」というものは薄れていく。結局他人では絶対に代わりに行えないことがやりたいこととしてないと「やる気」は出ないようだ。いったい世の中のどれくらいの高齢者がそういったことを持っているだろうか。