絶対に読むべきリハビリテーションの本

研修に行きまくり、本を買いまくった時期

療法士になってからしばらくは手当たり次第に研修会に行き、リハビリテーション関連の書籍を買い漁りました。今思い返せば、独身でまだ実家暮らしだから出来ていた特別な時期です。学校卒業後、病院で実際に働き始めると、見るもの聞くものがすべて新鮮であれもこれも吸収したいという不安と希望が同居したそれはそれでとても幸せな時期でした。

 

9割以上が無駄だった研修と本

そのような中、行った研修、買った本のすべてが良かった訳ではありません。いまでの臨床の中で役立っているのはほんのわずかです。特に一人暮らしをしたり、家庭をもったりする際にほとんどの本を処分してしまいました。その結果残った本は数冊ですが、今読んでも学べることがたくさん詰まっている本たちです。そのほとんどが「○○法」についてなどの本ではなく、基礎的な本当に基礎的な本です。良く言えば基礎が重要ということでしょうし、悪く言えばリハビリテーション自体がほぼ進歩してないということでもあります。

 

貴重なお宝本

リハビリテーションの仕事をしていると、脳卒中患者さんを担当する機会は少なくないと思いますが、その中で今でも読み返している本があります。

 

脳卒中の早期リハビリテーション

脳卒中の早期リハビリテーション

 

 最近Amazonで調べてみて驚いたのですが、もう手に入れられない状況になっているようです。本の題名は「脳卒中の早期リハビリテーション」となっていますが、「早期」だけに関わらず、いわゆる「回復期」や「維持期」でもたいへん役立つ内容となっています。

 

著者はリハビリテーションの専門医 

著者である二木立氏、上田敏氏ともリハビリテーションの専門医であり、データや根拠となる理論が非常に分かりやすくしっかりと記述されています。序章にある「早期リハの効果とリスク管理」では、脳卒中に関わらず廃用性症候群の患者さんなど、まずは座位訓練から開始する必要がある時、あらためてその重要性に気づかされます。

 

リハビリテーションにとって有益な情報が詰まっている

座位訓練というと療法士などから起こされて”ただ座らされている”という受動的なイメージが強いですが、実際に重要なのは患者さんの反応を見ながら座位を続けるかどうかを進めることです。本でも以下のように書かれています。

あくまでも患者さんの半能動的な参加が前提になっており、単純な受身の訓練ではないのです

 これって別に脳卒中患者さんだけの話ではないですよね。療法士が普段何気なく行っている訓練に関しても改めてその深い意味を教えてもらえます。その深い意味が見えてくるだけで、また日々の臨床の面白さが変わりますし、実際に行動も変わってきます。この 「脳卒中の早期リハビリテーション」は、リハビリテーションに関わる人なら絶対に読むべきリハビリテーションの本です。