手の仕組み〜リハビリテーションの立場から

手の解剖学を少し知れば、脳卒中の後遺症で指が曲がった状態で固くなった患者さんや指がわずかに動く患者さに直ぐに役立てるので簡単にまとめてみます。

 

手の解剖

まずは指の解剖学をシンプルに説明します。指を曲げる筋肉は主に肘の辺りから各指先へと長く伸びています。しかも手のひら側です。一方で指を伸ばす筋肉は同じく肘の辺りから、今度は手の甲側に伸びています。

 

手関節の位置で指先の運動が変わっていく

ですから、手関節を手のひら側へ曲げると手の甲側を走っている指を伸ばす筋肉はぐーっと引っ張られますので、自然と指は伸びていきます。また手関節を手の甲側へ反っていくと今度は手のひら側を走る指を曲げる筋肉が引っ張られて、その結果指は曲がっていきます。

 

指を伸ばしたい

さて、指を曲げる筋肉が強く働いてしまって、なかなか伸ばすことが出来ない患者さんの場合は指を伸ばしたいわけです。ですから手関節を手のひら側へ曲げてあげると、自然と指は伸びてきます。

 

指の曲げ伸ばし運動を促す

また、指がわずかに動く患者さんのリハビリテーションでは、指を曲げる運動の時は手関節を手の甲側に反ってあげます。反対に指を伸ばす運動の時は手関節を手のひら側に曲げます。すると指は伸びてきてくれます。

 

このように指を曲げる・伸ばすリハビリテーションが必要な時に療法士としては指そのものではなくて手関節の動きをサポートして指の動きへと繋げていきます。目指すところは「指」なのに働きかけるところは「手関節」。人の身体って本当に興味深いものです。