リハビリテーションは「なんでも屋」ではない

進行していく症状かどうか

脳卒中や骨折後のリハビリテーション認知症患者さんのリハビリテーションとでは、大きな違いがあります。それは脳卒中や骨折が基本的に症状が固定しているのに対して、認知症は症状が進行していくという点です。そのため先月、先週できていたことが急にできなくなるという場面に遭遇することが少なくありません。

 

認知症症状の悪化の原因は何か

また注意しなければいけないのは、認知症の症状を悪くしているものが本当に疾患の進行によるものなのか、あるいは何かきっかけがあって一時的なものなのかをよくよく判断していく必要があることです。例えば認知症患者さんでは排泄の失敗経験がかなり心理的に影響するようで、その失敗が本人の自尊心とも影響して家族への暴言や暴力などにつながったりしていたケースがありました。その失禁自体は夜間就寝中にオムツをしていたものの起きていたのですが、夜間用のオムツなどの工夫で対応でき、その後は気持ちが落ち着いて暴言もなくなっていきました。一方で薬の変更や中止などで認知症症状が生じた場合は対応も難しい状態です。その場合はどんな問題がどんな時に出ているのかを、主治医に伝えてもらうようにし、薬によって可能な限り対応してもらうしかないようです。

 

躊躇なく助けを借りることが大切

リハビリテーションはやれば必ず何か効果があるという「なんでも屋」ではありません。患者さんの疾患の特性を理解した上でリハビリテーションの技術と知識を用いてどんな対応が可能なのかを判断し、対応困難なことは他の専門職の力を借りるということが重要なのでしょう。