介護保険の改定から3ヵ月が経った現状

陰惨な状況 

2018年4月からの介護保険制度の改定により最低3ヵ月に1度は訪問看護ステーションから看護師が患者を訪問して状態把握をしなければならないことになりました。看護師がメインのサービスとなっているステーションではなんら影響のないこの改定ですが、療法士によるリハビリテーションがメインとなっている訪問看護ステーションでは大きな影響がありました。そして現場で起きている変化は、制度変更の内容を知る前に予想していたよりも陰惨な状況をもたらしていたりもしています。

 

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現場で起きていること

まず9割の患者さんや家族、そしてケアマネージャーは制度改定を”仕方なし”と受け入れられています。残り1割では、患者さん、ケアマネージャーのいずれかが納得できないと看護師の訪問を拒否している状況です。

その拒否理由は、制度変更が納得できないというものです。病状も安定している、定期的に病院にも行っている、デイケアなどで看護師に体調管理もしてもらっている、それにもかかわらずなぜ訪問看護師を受け入れなければならないのかを納得できるように説明しろというものです。説明自体は制度変更のため看護師が訪問しないと療法士によるリハビリテーションのサービスを行うことができないということにつきるのですが、それでは「納得できる」説明ではないようです。そのためこのようなケースでは話し合いで解決種類のものではなく、説得しようとするために精神的な疲労や無駄な時間を膨大につかうことになります。その結果、私の勤める訪問看護ステーションの管理者(看護師)や看護師は、働くモチベーションを日に日に下げ、精神的にも肉体的にも疲労をためていっている様子です。何しろ患者さん宅を初回訪問ということで訪れ、制度改定に納得していない患者さんやケアマネージャーからかなりの罵詈雑言を浴びさせられるのですから当然です。

 

最もダメージを与えられているのは看護師

さて、この改定で影響を受けているのはリハビリテーション主体の訪問看護ステーションですが、その中でも最もダメージをくらっているのは経営者でも療法士でもなく、看護師です。経営者は基本的に指示を出すだけです。療法士は訪問リハを通して受け入れられて来ています。しかし新たに訪問しようとする看護師は「来てほしいと思っていないのになぜ来るのか」というようなことをストレートにあるいは遠回しに延々と患者やケアマネージャーから言われるわけです。仕事とは言え、かなり辛いことです。私自身も病院で勤めていた時には、医師からリハビリテーションの指示が出たものの、リハビリテーションなどしたくはない・希望していないという患者さんが中にはいて、そういう人たちのリハビリテーションを毎日毎日冷遇を受けながらリハを行うのは辛かった思いがあります。しかし、この制度改定を希望していたのは誰かというと他でもない日本看護協会であります。

 

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自分を救えるのは自分自身

私自身当初は看護師協会の言うところの、訪問看護ステーションにも関わらず実質療法士のリハビリテーションが主体となっている所が増えていることに理解はしていました。しかし実際にこの制度改定がもたらしたものは、少なくともこの3ヵ月の現場では看護師の苦痛であり、患者やケアマネージャーとの関係性を崩すということでした。投げ出したくなる時もありますが、それでも仕事として、私たちは前を向いて働き続けなければなりません。療法士や看護師などといった人たちはこういう自分たちの意思とは違う変更に従う環境で働いているのです。一方でそういった制度によって報酬が約束されている有難い職業でもあります。もっとも良い方法は、先日の記事でも述べたように収入源を増やすために活動していくという方法です。そうすることで経済的な安心を得られ、精神的に追い込まれるのなら職場を去ったり勤務時間を減らすという選択肢ができます。専門職だからこそ可能なことでもあり、生かすべきではないでしょうか。

 

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