心の支えは大事

訪問リハビリテーション訪問看護に行く患者さんの中にはというより多くの患者さんは病気を持ち身体だけでなく、心も弱っていることを実感します。患者さん自身は家族にサポートしてもらいたいのでしょうが、家族の方も患者さんにつきっきりという訳にはいきません。そこでやはり病気のことや体のことを扱う専門職である看護師や療法士がそういった患者さんの気持ちを聴き、心理的なフォローをするということはとても重要です。

 

例えば毎回訪問する度にため息を吐き、「もうこんな体で生きていてしょうがない」という言葉を私に洩らす患者さんがいました。どこが痛い、夜眠れない、食欲が全く出ないと次々に訴えが出てきていました。肝心なのはそれらの症状の背景に何らかの疾患があるのではないかと疑うことです。そしていろいろ話を聴いているうちにどうやら何か疾患がある訳ではなく、とにかくその患者さん現状の

辛さを聴いて欲しいということが分かってきました。じっくりとその話を傾聴した後、話題をその患者さんの故郷のことや孫のことなどに変えると、それまで弱々しい声だったのに急に力強く大きな声で話をしてくれます。そして表情も幾分か硬さがとれ笑顔も見られたりしました。一通り運動を行ってリハビリテーションが終わる頃には少し活気も出てきたようでした。

 

恐らくこの患者さんは自分の体の事を聴いてもらいたかったのかもしれません。家族訴えても「頑張って独りでやることがリハビリですよ」と言われ続けていたようで、尚更誰かに辛い心に寄り添って欲しかったのでしょう。それが出来た後は少し元気になって色々話を聴かせてくれたのです。心が暗〜く沈んだままだと運動する気にもなれません。訪問リハビリテーション訪問看護と言いながらも実際にリハビリテーションや看護を行うより前に少しでも心の支えとなれるような関わりが必要です。きっとそれだけでも患者さんにとっては大きな意義があるのではないでしょうか。そしてそれがどこかに日常生活の改善にも繋がって行くので、心のサポートはとても大切なものなのです。