模倣と競争に翻弄される人間

人生100年時代に突入していっている今日、将来や老後のことについてあれこれと悩むことがあります。しかし多くの人にとって現実的で有効な解決手段が「可能な限り働き続けること」です。そのためには「働き続けられる」ための環境作りをすることが自分の人生にとってとても大切です。例えば、嫌で嫌で仕方がない仕事をお金のためだけにし続けるということには限界がありますし、精神や身体にも悪影響で健康を崩し働き続けることができなくなります。

 

そういう環境づくりでなるべく質素に暮らすということは欠かせません。本当に欲しい物を手に入れるためにお金をつかうのは働いたり生きていくためのやる気を起こさせるためには必要です。しかし見栄や他の人がやっているからという理由での無駄遣いはやめるべきでしょう。なぜなら支出を抑えられれば、必要なお金も減り、貯金や投資に余ったお金をまわせます。また仕事に関しても時短や非常勤で働いても生きていけるようになどの選択肢が広がり、細く長く働き続けるということが可能になるかもしれません。

 

最近読んだ本の中でジラールという哲学者の話がありました。ジラールの名前を聞いたのは初めてでしたが、とても刺激的な言葉があったので紹介します。私たちは普段あまりにも当たり前すぎる人間について深く考えることなく行動しています。しかし哲学者というものは、そこで立ち止まって、当たり前と思っていることや疑問にさえ思わないことを本当にそうなのか?と深く深く考えます。だからこそ、ある時、ハットするような気づきを得られます。ジラールはこう言います

 

  ジラール 思想 の 核 に ある のは 模倣 理論 と 競争 だ。 ジラール に よれ ば、 人間 の 行動 は「 模倣」 に 基づい て いる。 人間 には 他人 が 欲し がる もの を 欲し がる 傾向 が ある。 したがって 模倣 は 競争 を 生み、 競争 は さらなる 模倣 を 生む。

 

トーマス・ラッポルト. ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望 ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望 株式会社 飛鳥新社. より

 

テレビや雑誌で紹介される有名人、あるいはSNSや自分の身の周りの知り合い、そういった人たちの暮らしぶりを見ることで、自分も同じようなものや生活を求めていくと本当は必要でもないものへ無駄にお金を投入することになります。やがては有名人や他人と同じものを持てることに快感を覚え、更にはもっともっとと求めてお金を浪費していきます。そういう人間の本能を離れたところから眺めると少し冷静さを取り戻せます。「それは本当に自分が欲しいものか?それは私の暮らしを楽しくさせてくれるものか?」そう考えると、無駄遣いも抑えることができます。

ジラールの本を実際に読んだことはありません。しかしピーターティールのように世界を変える影響のある人たちがどういった考えを持っているのかを知ると「哲学」というものがかなり大きな存在価値をもっていることが分かります。

いずれにしても支出を抑え、出来るだけ少額で暮らしていけるような習慣作りはこれまで以上に重要となります。長く働き続けるために働き方の選択肢を増やすためにも。

 

 

ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望

ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望