私が株式投資を続けるために必要だったもの

株式投資の専門家ともなると、冷静な判断力、耐える精神力、リスクを見定める臆病さと勝負に出る大胆さなどが必要だというのは、私の勝手な思い込みです。

 

ただネットや書籍などで著名な投資家と言われる人たちを見ていると、そう思わずにはいられません。それらを読む度にう~んとうなったり、興奮したりしながら「この人たちほんとすごいなー」、「私にはこんな所まで考えるのは到底ムリだわー」と思ってばかりだったのです。

 

そうして実際に株式投資の世界に乗り込んで、見事に散り、「やっぱ向いてないな」としばらく投資から距離を置いたり、また近づいていったりの繰り返しが株式投資を始めて数年の私でした。

 

先進国インデックスファンドへの投資を始めるまでは、日本企業への個別投資をずっとやっていて、はっきり言って利益を得られた経験はごくわずかです。その金額も3千円ほどだったと今でも覚えています。その他はすべて数万円の赤字でした。

 

そんな私が投資の世界との関わりを持ち続けられたのは、何が理由なのかなと思い返してみると本当につまらないようなただひとつの理由です。

 

それは「劣等感」、ちょっとカッコ良く言うならば「ハングリー精神」。

 

私は平凡なサラリーマンで、職業柄(リハビリテーション療法士という医療・介護職)多くの給与は望めません。ただやっぱり欲深い人間でもあり、高収入の人たちに憧れや羨ましさを抱いていました。また延々と続く日々の労働に対して、周期的に「いったいいつまでこんなことをやり続けなければならないのだろう?」などという愚かな疑問をさえももっていました。

 

ただその現実をあるがまま受け入れるだけではなく、何とかできないものかとあれこれ考えてはいました。何とか今の状況をひっくり返してみたいなんという本当に青臭い考えです。ですが、この青臭い「劣等感」がどうにもこうにもなくならず、事あるごとにムクムクと頭の中に湧いてくるのです。

 

今思えばそういう「劣等感」があるからこそ、どうにか私のような人間でも出来る投資方法はないものかと勉強し続けられたのだと思います。

 

「この投資法で必ず勝てる」的な本も数多く読んできました。そこに実際の経験や失敗があったからこそ、自分に本当に合った投資方法を判断出来るようになったのかもしれません。

 

また初めのうちの小さな損失がいくつもあったからこそ、インデックスファンドへの積立投資も少しずつ、ほんとうに少しずつ試しながら行っていきました。そして積立金額が数十万円を越えた時点で、「これ(先進国インデックスファンドへの長期積立投資)で行こう」と心づもりができたのです。

 

というわけで今でも、こんな平凡な自分でもどうにかして大きな金額を手にしたいというお恥ずかしい「劣等感」こそが投資を行ない続ける源泉となっているのです。

 

 

臆病者のための株入門 (文春新書)

臆病者のための株入門 (文春新書)