情報格差

訪問リハビリテーションの仕事をしてから、医療保険のサービス、介護保険のサービス、障害者福祉サービスというこれまで接することのなかったサービスの存在を知るようになった。
そしてそれらのサービスに関わる中で、ひとつ新しい言葉を知ることになった。それが「申請主義(しんせいしゅぎ)」である。言葉の意味は、ある社会福祉サービスを利用できる要件を満たしていたとしても、きちんと申請して手続きを行わなければそのサービスを利用できないということである。

つまり、待っていれば、いつか国や自治体がサービスを用意してくれ、そのサービスを受けられるようになることはないということである。困ったことがあれば、それを助けてくれる公的なサービスがあるか自ら調べ、その要件を満たしているかを確認し、そしてそのサービスを受けたいという意思表示を手続きによって行わなければ、そのサービスは該当者にとって無いも同然なのである。

したがって、患者さんはもちろん、家族や彼ら・彼女らに関わる医療・介護関係者が周りに社会福祉サービスについてよく知っている人がいるかいないかでその人の生活の質が大きく変わる可能性があるということをこの「申請主義」という言葉を通して感じた。これも情報格差の一つといえるだろうか。