「転倒」のもどかしさ

病院のときもそうだったが、訪問リハビリテーションの場に移っても、患者さんの転倒が転倒したという話は時折聞く。

 

ただこの転倒事故にはなかなかもどかしい要因が背後にあることが多い。

まず転倒の危険性がほぼないのが寝たきりの状態の患者さんである。起き上がりもトイレ移乗も一人ではまったくできないくらいのレベルなのだから当然である。一方、転倒の危険性が高いのが、ひとりで起き上がりができて、移乗や車椅子移動が自分でできたり、あるいは杖があれば歩け、活動的な人である。

少しの体調の変化でふらつきが生じ、転倒してしまう。特に夜起きてトイレに行く時など。

 

ところが、リハビリテーションでは、寝たきり状態の患者さんを自分で起き上がり、座り、立ち、車椅子に移乗したり、歩いたりできることを目指す。そしてそれは転倒の危険性を高めることになるかもしれないのである。