病との戦い

平均寿命が伸び老後の心配がある一方、明日死ぬかもしれないという恐れの中で生きている人もいる。

 

私の知り合いが突然ガンの宣告を受け、しばらくの入院生活の後以前とは違う痩せ細った姿で戻ってきた。まだ40代である。抗がん剤治療も続いているようで、ニット帽に大きなマスク姿が痛ましい。「大丈夫かい?」と声かけに「大丈夫じゃないよ。明日死んでもおかしくないんだって。元気を少し分けてもらいたいよ」との答えに返す言葉も見つからなかった。それでもその人は独りきりになるのが怖いので、自分のペースで職場へ復帰している。

 

確かに平均としての寿命は伸び、超高齢化社会が目前には迫っている。しかしこうして病のために若くして明日をも知れぬ人生を生きている人もいる。もしかしたらそれは私であっても不思議ではない。そして長くはない自分の寿命を知った時、どう思い、どう生きていくのだろうか?きっと、年金やら老後の生活について考えていた自分がバカバカしく思えるだろう。そんなはるか先の事を考え心配しながら生きるより今どうしたいかを考えて生きろと言いたくなるだろう。

 

社会の発展はとてもありがたい。様々な事を技術や知識の進歩で良い方向にコントロールできるようになった。一方で、自分の死さえもコントロールできるようかのようにいつしか思いこむようになり、遠い先にある自分の老後を無意味に心配している自分がいる。ただ生きるのではなく、どう行きたいか考えながら精一杯生きることが、いつか自分の死が見えた時にも後悔せずに余命を過ごすために重要だと改めて実感している。

私はあなたを応援しているよ。